発 汗

酒と薔薇とご飯とフットボールに関するものです、要はなんでもありです。(そのうち薔薇も育てます…)

2004年08月

スポーツ医学と朝ご飯

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スポーツ医学が発達して、その研究成果が実際の競技にフィードバックされるようになって実にうれしい♪

練習中は給水禁止、ウサギ跳びでグランド一周、ラグビー選手はヤカンで治る

こういう非科学的なことがぼくらの中学生のころにまかり通っていたんだから、不思議なもんだ。あの当時に無給水でうさぎ跳びグランド一周とかさせてた体育の教師には面と向かってひとこと言ってやりたいほどばかばかしい嘘だよね~

しかし、こんな極端な例じゃなくてもまだまだ誤解はたくさんあると思われる。

とりあえず練習をしていれば良いんだということでオーバートレーニング症候群になったり・・・
試合の前の日に焼肉や豚カツなどを食べてスタミナをつけると思いこんだり・・・(翌日は血液中に脂肪が流れ込み、からだがキレがなく判断力も怪しくなるらしい)

僕自身もごく最近読んで「そうだったの?」って思うことがあった。
日刊スポーツというメジャーな新聞のコラムだから多くの人に読まれているかもしれないが・・・
平石クリニックという内科医でスポーツ医学の専門病院が六本木にあるが、そこの院長の平石貴久さんが「アテネを診る」というタイトルで内科医らしい指摘をいくつもしている。
http://athens2004.nikkansports.com/column/hiraishi_040822.html

試合の2時間くらい前に糖質をとること、バナナやチョコレートなどが有効。ってのが僕にとっての常識だったし「ミランのインザーギは試合前に必ずパスタをとる。それもソースが絡んでないブーロ(バター)のみのものをとる」ってのも知っていた。
だが・・・
「以前は、パスタやバナナを食べたが、これらはGIが70~75と低い。食べても翌々日にならないとエネルギーに変わらない。」なんだそうで、僕はガクッと力が抜けましたなぁ・・・

朝食べて、数時間後にエネルギーに変わらなければ意味がないのだ。翌日ですか・・・タハハ・・・(^_^;)

「その日のうちにエネルギーに変わる。フランスパン、食パン、レーズンパン、ポテトやコーン、ショ糖などである。一番のお勧めメニューはコーンポタージュと、バター、はちみつをたっぷり塗ったトースト。さらに、サッカーや野球など体がぶつかり合うスポーツは、動物性脂肪としてウインナソーセージやハムエッグなども加えた方がいい。戦う姿勢、負けない強い意志を保つためだ。」って普通の朝ご飯じゃん・・・やれやれ・・・

試合の当日はトーストと蜂蜜とコーンスープだな、でもって持参するのはブドウ糖の錠剤とクエン酸入りのスポーツドリンクだな・・・

うーん・・・これが数年後に「~と考えられていたがそれは間違いで・・・」とならないように祈ろう。

この平石先生はマラソンのスタート前に面白い指摘をしている。「ただし、力うどんでおもちを食べると約2時間後には力を発揮する。これを知る巨人清原さんは、試合直前に奥さまの手づくりおもちを磯辺焼きで2、3個食べている。日本マラソンチームもスタート4時間前に小さく切ったおもちが5、6個入ったバター味の雑炊を食べる。」
金メダルをとった野口選手の27キロ付近でのスパートは四時間前の餅が効いたのだろうか?この先生はまた上田栄治女子代表監督がベルマーレ平塚のTD時代のメディカルアドバイザーでもあったそうだ。

彼の著書は何冊か出ているが、最新のものが最新のものがやはり良いんだろうと思う。それにしても、時代と共に常識がどんどん覆るものだなぁ・・・

バックミンスター・フラーを知ってますか?

sr9s81kc.JPGU-23日本代表のだらしない試合の事をあれこれと思い悩んでいたら、バックミンスター・フラーの「シナジー理論」がサッカーチームのありように非常に似ている事に気がついた。

「個々の能力の総和以上の力を発揮できるのがチーム」というのがシナジー理論である。選手間の戦術共有と協力体制の確立、すなわちEuro2004ギリシャチームのありようがまさにそれだ。ここで言う「ギリシャチーム」とはスィーパーシステムとかマンマークといった戦術ではなく、チーム作りという戦略的側面だよ、もちろん。

A代表は選手同士が、自分たちが繋がり合おうとする事によりシナジーが出来上がりつつあるように見える。しかし、それはシナジーに見えるだけで、トータルなデザインからはほど遠い「部分」でしか無いように僕には見える(ピースが変わったらどうするんだ?「都並」のような事をもう一度繰り返すのだろうか?)。

ケット・シーさんがblogで書かれているように、U-23のチームはそうしたシナジーを作り出す努力を放棄していたようにすら思えるのだ。

ってな事を考えていたら、フラーの世界に引きずり込まれてしまった。
<リンク=http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568600316/hakkan-22">バックミンスター・フラーの世界という本がある。日本では彼の名前が知られなさ過ぎるんじゃないか?知られているにしても、ドーム型建築の提唱者としてしか知られてないとか?
現代のレオナルド・ダヴィンチと称される人の扱いがこの程度というのは少し寂しい。

「宇宙船地球号」という発想は彼が打ち出したものだが、それはエコロジストのイリュージョンではなく、各地にある資源やエネルギーを地球全体のものとして捉え、現在がいかに偏って無駄があり、それを効率よく分配していくべきだというものだ。

そのケーススタディとなるのが「ワールドゲーム」というもの。地球の各大陸の大きさを正確にあらわしたダイマクションマップを作ることから始まる。このマップは地球表面を複数の三角形に分割し、大きさ、陸地線など を歪めることなく平面に広げたものだ、体育館規模の会場いっぱいにこのダイマクションマップを広げ、人間100人が地球の全人口を代表する。1人が約6000万人に見立て、様々な資源や作物をやりとりしながら世界的規模問題の解決策を見い出すものだ。

フラーは決してナイーブな理想主義者ではなく、第2次大戦中は戦争経済委員会に属し、彼自身も戦争の持つ合理的側面に注目していたふしもある。しかし、戦争という手段を行使すべきとは考えず、ワールドゲームにおいて「戦争」はゲームオーバーを意味する。このゲームにおいても戦争の危険は当然のように存在するのだ。

とはいえ、僕はまだこのワールドゲームを見たことがないのだ。どこかでやってくれないかなぁ・・・これをやるとアメリカがいかに小さな土地で、いかに冨を集中させているかが判るらしく、アジアがいかに人口過密かも判るらしいんだな・・・

フランスの柔道

kic316mm.JPGフランスの国技は柔道である。人口に膾炙しているという点ではサッカー以上だし、手軽に楽しめるという点で競技人口は自転車以上だろう。シドニーの金メダリストは(内股すかしを知らない審判の事は置いといて)フランス人のドゥイエだったし、今回のオリンピックでもフランス国内ではかなりメダルを期待されている競技だ、48キロ以下級の谷亮子選手の決勝の相手はジョシネ、フランス人だった。

フランス全土に道場が6000あって4000がパリにあるらしい、その4000の道場は学校の教室に畳をひいたりするものから、大規模スポーツセンターの中の道場まで多岐にわたっている。あのパリ・サンジェルマン(P.S.G.)にも柔道セクションがあって、ドゥイエが所属している。ここは非常に強く全仏クラブ選手権で優勝したりしてる。

個人競技であり格闘技であり、大がかりな道具やトレーニング機材を必要とせずかつ精神の鍛錬にも役立ち、怪我の危険も少ないというスポーツがフランスに受け容れられたのは、明治期から始まった柔道の輸出の成果だろう。明治30年代にヨーロッパに渡った佐々木吉三郎氏が柔道の入門書を書き、それが英語やフランス語に翻訳され、人気となったらしい。時同じくして日露戦争の勝利という欧米人には信じられない出来事が起こったため、「日本人の強さの秘密」としてより注目されたことだろう。

子供達のパリの学校には体育の授業がなく、サッカークラブには10歳以上でないと入会できないため、僕は彼らを4000の道場の中の軽い方すなわち学校の教室に畳をひくタイプの道場に入会させた。
日本の道場は暖房とは無縁の冷たく湿って臭い印象だが、学校の教室なので暖房が効いて汗ばむほどの温度、机を教室の端に寄せて畳を敷き子供達が20人ほど。東洋人の子供は彼らだけで、その他の生徒と先生はもちろんフランス人という一種異様な風景。
先生が正座して、子供達の前に座り「Saiza!(正座をサイザと発音する)」、「rei!(礼)」で始まり準備体操。
まぁそこから先は何のことはない、体操教室みたいなもんだったけどね、子供達は柔道教室と言うよりは遊技場のような雰囲気の中ではしゃぎまわっている。子供達のモチベーションをあげるためと年齢を判別するため、帯には細かい色分けがなされる。白から始まり、黄色&白、黄色、オレンジ&黄色、オレンジ、緑&オレンジ、緑、青、茶ときて黒帯を締められるのは15歳以上という事だ。緑の帯など締めるようになったらもう一人前のJudoka(柔道選手のことをフランス人はこう言う)で、Parc des Prince横のクーベルタン男爵記念体育館あたりで贔屓の選手を応援するようになる。

日本には外国のスポーツの方が多いから、日本人が外国のスポーツをやってるのを見ても普通の光景だけど、外国で外国人だけが日本のスポーツをやってるのを見るとけっこう感動ものだよ。イングランド人が日本でサッカー教室を見たりする時に同じ感慨を抱くだろうか?もしくはカバティ教室を見るインド人のようなものだろうか・・・

アテネオリンピック、女子48キロ以下級のジョシネ選手はいつまで経ってもライバル谷亮子に勝てず、この大会でも完敗に終わったため非常に不機嫌だったようだ。そりゃそうだろう、相手が悪いよなぁ・・・と心から同情する。それでも彼女は最後にインタビューでライバルを称える言葉を発している。
「自分に腹がたってどうしようもないけど、銀メダルを汚すような事はしないわ。それよりも、フランスに最初の柔道のメダルを持ち帰れてうれしい。田村亮子は今日いちばん強かった、素晴らしいチャンピオンよ」

僕の子供達と一緒に柔道を習っていたフランスの子供達はやはりテレビの前でジョシネの応援をしていたのだろう。同じスポーツを距離を隔てた二つの国の人達が熱烈に応援し、敗者が勝者を称えるという行為がなんとなく救われる思いをもたらしてくれる。

(画像はフランスで広く流布されている「柔道の心得」)

2004アテネオリンピック女子サッカーグループリーグ第2戦 日本代表対ナイジェリア代表

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サッカーの質から言ったら、最初の1点で恐ろしくなってラインが引いてしまい、中盤がスカスカでパラグアイに支配されまくりだった男子代表よりは面白いサッカーしてたなぁ・・・

奪って繋ぐ、「プレスをかわして、クリアじゃなくパスにする。」
これ、この違いわかります?クリアじゃない、蹴っ飛ばしてタッチ割るボールじゃなくて、パスにするって事が・・・もの凄く違うんだよねぇ・・・その後にできることが。
パスをしたくてもクリアになっちまうワタシが言うのだから間違いないです・・・(;^_^A

前がかりの相手ならその瞬間にカウンターになる。
相手が引いてるならそのまま一気の押し上げで攻撃オプションが増える。
一方でクリアなら・・・相手ボールのスロウインになり、きっちりと形を作られる。

そういう、「奪ってパス、クリアじゃなくてパス」というところから、ショートパスをバンバン繋ぐ攻撃の流れで点が取れなかったのが誠に残念、惜しかった。澤だって良いシュート何本も枠に飛ばしてるから。サイドからのクロスだって良いのが上がってるし。

まぁ敗因というかあたりまえの話としては、身体能力に優れた昨日のような相手のほとんど注文にはまるような一対一になれば、あぁいう得点や得点機(何度か救われましたね、柳沢級のフカシに・・・)になってしまうということ。

勝てた試合だけに残念だけど、とりあえず現在の代表の中で最も面白いサッカーをしているのはたしかなので、次が楽しみ♪

二度負けたポルトガル

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結果を先に知ってしまったので、とても残念に思ってます。

イラクの全員サッカーが素晴らしかったからねぇ・・・まるでユーロ2004のギリシャみたいだった。
一方でポルトガルはあきらかにやる気のない選手やいらついている選手が何人かいた。そのちぐはぐさが連携のなさとなってチームとしての機能がないという状態だった。

クリスチアーノ・ロナウドはユーロのイングランド戦でも、ギリシャ戦でも、押さえ込まれるとそこをこじ開けようとするばかり、工夫がないんだよなぁ・・・

ルイス・ボアモルテの退場は気の毒な部分もあるかもしれないが、それにしてもオーバーエイジで参加しておいて、あの赤紙はないだろう。審判や相手を舐めてたんじゃないの?かなりいらついてませんでしたか?いずれにしてもこれで君のオリンピックは終わり。さっさと荷物をまとめてフラムでもどこでも好きに帰ってください。

なにやら苛ついたり上ずったりしてる有名選手と代表選手の息が全くかみ合わず、守備攻撃とも中途半端なポルトガルに対して、イラクは7番(凄い選手だったねぇ~Jリーグに来ないかしらね?下手な経済支援やるよりもずっと対イラク友好でしょうが・・・)を筆頭に全員が攻撃場面では散開しパスコースを作る、守備では約束事を守り、常に出るやつとサポートするやつのコンビネーションでボールを奪う。C・ロナウドは二人は抜けるかもしれないが、抜いた先にさらにワンセットいて、ボールを絡め取られてたなぁ・・・

終わってみれば4-2、どちらが優勝候補かわからない、イラクの完勝だった。

ポルトガルの選手にしてみれば、ギリシャに決勝で負けた鬱憤を晴らそうと(思っていたかどうかは知らないが)乗り込んできたオリンピックで、再びギリシャに負けたようなものだ。
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